第二次世界大戦期のフライトジャケットを代表する、U.S. Army Air Forces A-2 Flight Jacket。ペイントが施されていますがこれは戦後のものと推測されます。
A-2というだけでも特別な存在ですが、本品はさらに胸、両肩、そして背面に大きなハンドペイントが施された、圧倒的な存在感を放つ一着です。
A-2は1930年代初頭に米陸軍航空隊のフライトジャケットとして採用され、第二次世界大戦では戦闘機・爆撃機を問わず数多くのエアクルーに着用されました。ブラウンレザー、シャツ型の襟、フラップ付きパッチポケット、ニットリブという極めて完成度の高いデザインは、その後のフライトジャケット、そして現代のヴィンテージウェアにも絶大な影響を与えています。
本品はコントラクトラベルが欠損しているため、メーカーや契約番号を特定することはできません。しかし、ジャケット本体は第二次世界大戦期の実物A-2と判断される個体で、フロントにはヴィンテージA-2において非常に嬉しいディテールのひとつであるCROWNジッパーを装備。現在もジッパーは可動します。
そして、この個体を何より特別なものにしているのがペイントです。
左胸には大きく“UNITED STATES AIR-CORPS”のスター&ラウンデル、両肩にも航空隊を意識したインシグニアが描かれ、背面には女性と黒猫をモチーフとした大きなピンナップ、その上にゴシック調で、
この名称を調査すると、第二次世界大戦中に実在したB-17G Flying Fortress、Serial No.43-37706 “Satan’s Chille’n”へと行き着きます。同機は1944年6月にイギリスのDeenethorpeを拠点とする401st Bomb Group / 613th Bomb Squadronへ配属された機体で、機体コードはIN-U。記録上、実戦任務を重ねたB-17として確認されています。
さらに興味深いのは、401st Bomb Groupの資料に“Satan’s Chille’n”のA-2フライトジャケットそのものが存在した記録が残されていることです。401st Bomb Groupの戦後刊行資料「Blue Book」には同名のA-2が掲載されていたとされ、同機に関係した退役軍人が、後年になってもノーズアート入りのオリジナルA-2を所有していたという記録も確認できます。
また、当時のジャケットに描かれたアートが、同機のノーズアートを考証する際の資料として使われている記録もあります。つまり“Satan’s Chille’n”という名称とA-2ジャケットの組み合わせ自体には、明確な第二次世界大戦期の背景が存在しますがおそらくそれを再現したものでしょう。
ただし、ここは本品を販売するうえで非常に重要なポイントです。
本品に現在施されているペイントそのものを、第二次世界大戦当時のオリジナルペイントと断定することはできません。 ジャケット本体は大戦期の実物ですが、ペイントについては筆致やコンディション、個体の来歴を総合して、戦後に“Satan’s Chille’n”をモチーフとして施されたものと推測しています。
したがって、「Satan’s Chille’n搭乗員本人が戦時中に着用したジャケット」という意味で販売するものではありません。
しかし、それを差し引いても非常に面白い一着です。
ジャケットには当然ながら年代相応の使用感があり、レザーには擦れ、シワ、色ムラ、表面の摩耗などが見られます。左右のニットにも色や状態の違いが確認でき、長い年月の中で補修・交換等が行われた可能性も考えられます。ペイントにも擦れや剥離があります。リブにも色落ちがあり、片側は白く変色しています。
歴史的背景と戦後のカスタムカルチャーが一着の上で交差した、非常に強烈なコレクションピースです。中古品ですので返品はできません。ご了承ください。
サイズ(平置き)
肩幅:38cm
身幅:48cm
着丈:56cm
袖丈:62cm